2025年3月4日~3月7日に東京ビッグサイト東展示棟で初開催された「ビルメン CONNECT 2025」。ビルメンテナンス・ファシリティマネジメントがテーマのこの展示会に、三菱電機ビルソリューションズが出展しました。*1
「日経メッセ 街づくり・店づくり総合展 2025年」の一環として、防犯・防災関連製品やサービスを紹介する「SECURITY SHOW」や、ビル・店舗用建材などを紹介する「建築・建材展」など、「街づくり・店づくり」をテーマにした7つの展示会との同時開催です。
開幕日の3月4日から翌5日にかけては大雪に伴う予防的通行止めが広域で行われるという不測の状況にもかかわらず、総合展全体での開催期間中来場者数は20万人を超えるという盛況ぶり。*2, 3
東7ホールで隣接する展示会、「ビルメン CONNECT 2025」「SECURITY SHOW 2025」 「Good 家電 Expo 2025」を合わせた来場者数も32,617人に上り、どのブースも賑わいをみせていました。
三菱電機ビルソリューションズの展示内容や反響についてレポートします。
「ビルメン CONNECT 2025」とは
今回、初開催された「ビルメン CONNECT 2025」のコーナーを一巡すると、清掃・衛生管理から、警備・保安、設備管理・保守、防災関連製品・サービス、そして三菱電機ビルソリューションズが提供するDXソリューションにいたるまで、ビルのメンテナンスに関わる多種多様な製品やサービスが展示されています。
「ビルメン CONNECT 2025」を開催した経緯と意義について、展示会主催者である日経メッセ様にお話を伺いました。
ビルメンテナンス分野での総合的なソリューションを!
―なぜこのタイミングでの初開催なのでしょうか。
日経メッセ様(以下、敬称略):ビルメンテナンス分野では人手不足が最大の課題です。それで、その対策としてDX関連の製品・サービスに対するニーズが高まってきているということが1点ですね。
また、現在は建築資材が高騰していて、以前に比べて建築にはコストがかかっています。それで、建物を壊して建てるという発想ではなく、メンテナンスしながら大切に長く使っていこうという気運が高まっているという状況があります。
それは、SDGsの持続可能性、サステナビリティという理念にも一致するものです。
そうした機運が高まっているこのタイミングで、ビルメンテナンス関係の展示会をぜひ開催したいと思いました。
―出展企業にはどのような特徴がありますか。
日経メッセ:作業のオートメーション化やDXを通じて、ビルメンテナンス産業の人手不足解消に役立つソリューションを提供なさっている企業様ですね。
それぞれの企業様が競合するというよりは、全体として相補的に総合的なソリューションを提供するという方向性です。
会場内の特設ステージでは国内大手ビルメンテナンス企業様による、DXや人材育成をテーマにしたセミナーを実施しましたが、おかげさまで大盛況でした。
好評を追い風に、来年以降も開催を!
―「ビルメン CONNECT」のお隣では「SECURITY SHOW」が開催されていますね。
日経メッセ:「SECURITY SHOW」は、防犯、警備に関わるさまざまな製品・サービスを展示しています。1年に1回の開催で、今回が33回目、つまり30年以上の歴史を誇るイベントです。
「ビルメン CONNECT」という新しい展示会を立ち上げるにあたって、単独開催ではなく、分野的に親和性が高く、長年にわたって実績のある「SECURITY SHOW」と同時開催することによって、相乗効果が得られるのではないかというのが狙いです。
―反響はいかがですか。
日経メッセ:おかげさまで、大きな反響をいただいています。
技術的なトレンドに対する関心が高く、ビルメンテナンス・ファシリティマネジメント関係の会社様や電機メーカー様、あるいは人手不足に対するソリューションに関心をお持ちの企業様、アプリケーションを手がける企業様などを中心に、さまざまな業界から反響がありました。
また、大手のビルメンテナンス会社様からも、このようなイベント開催は業界全体が活気づくので非常にありがたいというお言葉をいただいています。
これを弾みに、「ビルメン CONNECT」をこれからも毎年、開催していきたいと考えています。
三菱電機様には是非、グループ全体で盛り上げていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
三菱電機ビルソリューションズの展示内容
会場を歩いていて気づいたのは、「ビルメン CONNECT 2025」と「SECURITY SHOW 2025」をハシゴする来場者が多いこと。
日経メッセ様の狙いどおり、相乗効果が得られたのではないでしょうか。
そして、三菱電機ビルソリューションズのブースにやってくると、そこにはロボットが!
三菱電機ビルソリューションズはビルIoTプラットフォーム『Ville-feuille (ヴィルフィーユ) 』を中心に、これからの「Smart Building Solution」を展開しています。
「ビルメン CONNECT 2025」のブースでは、その関連製品やサービスを展示しました。
その一部を、反響をまじえながらご紹介します。
スマートワーク・アプリ BUILDAYS®(ビルデイズ)
今回、大きな反響をいただいた「BUILDAYS®(ビルデイズ)」は、就業者のビル内移動の利便性を向上させるとともに、ビル管理者の業務効率化に貢献する、スマートフォン専用基盤アプリです。*4
図1 「BUILDAYS®(ビルデイズ)」の画面
出所)三菱電機ビルソリューションズ「ニュースリリース オフィスビル向け、スマートフォン専用基盤アプリ「BUILDAYS(ビルデイズ)Ⓡ」を提供開始」(2024年5月20日)
https://www.meltec.co.jp/press/240520.html搭載する機能の第一弾としてご提供しているのは、ビル内で働く就業者の入退室やエレベーター移動のスマート化を実現する「三菱スマート入退」と「三菱エレベーター連携」の2つ。*5
就業者は本アプリをインストールしたスマートフォンを所持すれば、カードリーダーに手をかざすだけで扉の解錠と入退室が可能です。
スマートフォンがICカードの役割を果たすため、管理者は就業者の入退室に必要なICカードの発行や手渡しが不要となり、省人化・省力化・省資源化に寄与します。
また、アプリを起動し、自分が乗る階と目的階を設定してスマートフォン上の「呼ぶ」ボタンを押すことで、フロアにエレベーターを呼び出し、目的階まで自動で運転します。
スマートフォンでエレベーターの目的階をあらかじめ登録しておけば、利用するエレベーター乗場に近づくと、設置された発信機端末と「Bluetooth(R)」とが通信を行い、エレベーターを自動で呼び出します。
その際、ボタンを押さなくても目的階までの移動が可能となりますので、手がふさがっている時などにも便利です。
図2 「BUILDAYS®(ビルデイズ)」でできること
出所)三菱電機ビルソリューションズ「BUILDAYS ビルの利用をスマートフォンでより便利に。」
https://www.meltec.co.jp/building/buildays/こうした最新の機能を搭載しているため、新しい大きなビルに導入するものというイメージがあるかもしれませんが、そんなことはなく、今お使いのビルにも導入していただけます。
この展示会では、ゼネコン様や大手電機メーカー様、ビルメンテナンス業者様を中心に、多くの企業が関心を寄せてくださいました。
中には、わざわざ予約してご来場くださった大学の学生さんもいらっしゃいます。
新製品・新サービスの開発や導入について勉強している方だったのですが、新規性を備えたこのアプリの製品開発やリリース前の社内実証に興味をもっていただけたようです。
デジタルネイティブ世代にとってスマートフォンは親しみやすいデバイスということもあり、BUILDAYSに親近感が湧いたとのこと。
若い世代の方々に受け入れられるアプリによってビル内での利便性が向上すれば、そのビルで働く従業員のエンゲージメントが高まると同時に、人材確保という面でも強みを発揮できるのではないでしょうか。
そんなポテンシャルを感じさせていただけた、展示会ならではの出会いでした。
ロボット移動支援サービス
この展示会で多くのロボットメーカー様やゼネコン様が関心を寄せてくださったのは、「ロボット移動支援サービス」です。
現在は労働力不足を背景に、警備・配送・清掃などさまざまな分野でサービスロボットの活用が進んでいます。*6
三菱電機ビルソリューションズの「ロボット移動支援サービス」は、ビルの設備や人とつながり、ロボットフレンドリーな環境を提供します。
ロボットフレンドリーな環境とは、ロボットを導入しやすい環境のことで、たとえばロボットが活動しやすいように、導入場所の作業内容や作業環境がロボット目線でバリアフリーに整備されている状態を指します。*7
これまでのロボット開発では、多種多様なユーザーの要望をロボットメーカーやSIer(システムインテグレーター)が個別に反映させていく方法だったため、ロボットシステムは特定のユーザー向けに機能特化してしまうという側面がありました。
しかし、それではロボットの社会実装は進みません。
そこで、ロボットフレンドリーな環境を整え、ロボットをより導入しやすい価格にして社会実装を加速させようとするのが、ロボットフレンドリーの考え方です。
三菱電機ビルソリューションズの「ロボット移動支援サービス」は新機能として、ビル内でサービスロボットが安全かつスムーズに運行するための「ロボット管制」と、複数種類・複数台のロボットを一元的に監視する「ロボット統合監視」を開発し、2024年12月20日から提供を開始しています。*8
図3 「ロボット移動支援サービス」のイメージ
出所)三菱電機ビルソリューションズ「ニュース・リリース お知らせ 複数種類・複数台のサービスロボットを統合管理」(2024年12月17日)
https://www.meltec.co.jp/press/241217.htmlこの「ロボット管制」機能によって、ビル内でのロボット同士の衝突や対面での膠着などが回避できるようになりました。
また、「ロボット統合監視」機能では、ビル管理者がPCやタブレット端末から複数のロボットの位置や稼働状況、異常などをグラフィック画面上で一元的に監視し、ロボットの管理業務の効率化や省力化をサポートします。
「ビルメンCONNECT 2025」のブースを訪れてくださったロボットメーカー様は、ソフト面との連携がサービスロボットの浸透につながるという側面から、こうしたサービスに大きな関心を示されていました。
また、ビル建築というハード面に携わっていらっしゃるゼネコン様からは、喫緊の課題であるロボットフレンドリーな環境構築に関するご質問を多くお受けしました。
こうした社会ニーズにお応えするために、三菱電機ビルソリューションズは、常に研究開発に取り組んでいます。
たとえば、株式会社タップ様からの委託を受け、経済産業省が推進する「ロボットフレンドリーな環境構築支援事業」の取り組みの1つである研究開発プロジェクト「リソース管理システムによる複数ロボットの群管理標準化に関する研究」に参画し、2024年11月1日から2025年2月28日まで実証実験を実施しました。*9
この開発研究はホテルを含む複合施設やオフィスビル、病院などの施設内で使われる異なるメーカーのロボットが、スムーズに動ける環境を作ることを目的とした取り組みです。
この実証実験では主に、交差点や狭い通路などでのロボット同士の衝突や対面膠着を防ぎ、さまざまなロボットが建物内を円滑に稼働するための検証などをパートナー企業とともに実施しました。
その結果、メーカーや種類の異なる複数台のロボットを同時に利用する際の運用効率の向上や改善点を確認することができました。
こうした知見を活かし、人とロボットの双方にとってより最適な移動環境の構築を目指しています。
まとめ
初開催の「ビルメン CONNECT」は、ブースを訪れてくださった多くのご来場者様に、三菱電機ビルソリューションズが提供する「Smart Building Solution」について、直接ご紹介、ご説明する良い機会となりました。
今回いただいた大きな反響を励みに、今後も研究・開発に取り組み、新たな製品・サービスのご提供を通じて、皆さまに貢献したいという想いを新たにしています。
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*1
日経メッセ「初開催「ビルメン CONNECT」7日まで開催中!」(2025年3月4日)
https://messe.nikkei.co.jp/bc/topics/144777.html
*2
NEXCO「雪に伴う関東地方・長野県の高速道路における予防的通行止め等について」(2025年3月5日 6時00分更新)
https://www.e-nexco.co.jp/news/important_info/2025/0304/00014721.html
*3
日経メッセ「日経メッセ 街づくり・店づくり総合展 2025年来場者数」(2025年3月7日)
https://messe.nikkei.co.jp/archive/2025/visitor.html
*4
三菱電機ビルソリューションズ「BUILDAYS ビルの利用をスマートフォンでより便利に。」
https://www.meltec.co.jp/building/buildays/
*5
三菱電機ビルソリューションズ「ニュースリリース オフィスビル向け、スマートフォン専用基盤アプリ「BUILDAYS(ビルデイズ)Ⓡ」を提供開始」(2024年5月20日)
https://www.meltec.co.jp/press/240520.html
*6
三菱電機ビルソリューションズ「スマートシティ・ビルソリューションズ ロボット移動サービス」
https://www.mitsubishielectric.co.jp/smartbuilding/services/robot-assistant/
*7
経済産業省「ロボットフレンドリーな社会の実現に向けて~ロボット導入環境のイノベーション~」(2022年9月9日)p.2, p.6, p.9
https://www.nedo.go.jp/content/100953531.pdf
*8
三菱電機ビルソリューションズ「ニュース・リリース お知らせ 複数種類・複数台のサービスロボットを統合管理」(2024年12月17日)
https://www.meltec.co.jp/press/241217.html
*9
三菱電機ビルソリューションズ「ニュース・リリース お知らせ 経済産業省「ロボットフレンドリーな環境構築支援事業」に関連した研究開発プロジェクトの実証実験を完了」
https://www.meltec.co.jp/press/250307.html