• 更新日:2025.07.16
  • 作成日:2025.07.16

オフィスでできる節電7つのポイント 「環境」+「経営」で経営力アップを目指そう

オフィスは一般家庭よりも多くの電気を消費するため、電気代高騰の影響を大きく受けます。
しかし節電を意識すれば、電気代の削減はもちろん、環境に配慮した経営を目指すことも可能でしょう。
そこで本記事では、オフィスにおける効果的な節電方法についてご紹介します。
まずは手軽に実践できることから始めて、未来の環境を守る経営にシフトしていきましょう。

環境経営とは

近年、持続可能な社会を構築するために事業者として環境に配慮した経営(環境配慮経営)が求められています。
まずはじめに、企業が取り組むべき「環境経営」についてみていきましょう。

企業と社会の持続可能な発展が目的

2015年9月の国連サミットでは、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が全会一致で採択されました。2030年を年限とする17の国際目標が示されています。(下図1)*1

図1:出所)外務省「持続可能な開発のための2030アジェンダ」p.2

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/000270935.pdf

「7:エネルギー」では、クリーンなエネルギーを皆で分かち合うことが求められています。
持続可能な開発目標(SDGs)の一つである「13:気候変動」においては、大気中の二酸化炭素濃度を軽減するための取り組みが必要とされています。

経済のグリーン化を実行することで環境に配慮した経済活動が可能となり、地球環境がこれ以上損なわれないことを目標としています。*2

環境視点から経営力を向上【収益改善効果を生み出す】

環境経営を進めていくと、地球環境の悪化を抑えられるだけではありません。企業においても経営力が向上するというメリットを得られます。

省エネ活動を行うと光熱費や動力費などの、コスト削減が見込めます。
他社との差別化をPRし、「環境を大切にしている会社」として企業価値を高めることも可能です。
その結果として、新しいビジネスチャンスが舞い込む可能性もあります。*3

図2:出所)経済産業省「省エネから始める経営力アップ ハンドブック」p.47

https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/sho_energy/data/keieiryoku_up_handbook.pdf

オフィスで始めよう!7つの節電ポイント

オフィスで使用する電力を削減するには、下図3のような省エネに関するさまざまなアクションが必要です。ここでは、オフィスで実行したい「7つの節電ポイント」について解説します。

図3:出所)環境省「オフィスでできる節電アクション」

https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/setsuden/office/

1. エアコンで節電

オフィスにおいて消費電力が多いのはエアコンなどの空調設備です。

経済産業省が提供する「省エネ・節電メニュー」では、消費電力のうち冬季は約34%(図4)、夏季は約49%(図5)を占めています。
夏季における消費電力はオフィス全体の約半分にもなるため、空調の省エネ対策を講じることが重要です。

図4:出所)経済産業省「冬季の省エネ・節電メニュー」 p.3

https://www.meti.go.jp/press/2023/10/20231031006/20231031006-5.pdf

図5:出所)経済産業省「夏季の省エネ・節電メニュー」 p.3

https://www.tohoku.meti.go.jp/s_shigen_ene/topics/pdf/220630_4.pdf

節電のポイントとしては、以下の4つが挙げられます。

  • 夏の冷房時の室温は28℃、冬の暖房時の室温は20℃を目安にする
  • 冷房・暖房は必要な時だけ使用する
  • 扇風機やサーキュレーターを併用して風向きを上手に調整する
  • フィルターはこまめに掃除する *4

温度設定を1℃変えるだけで、消費電力を大幅に削減することが可能です。
夏の冷房時の温度設定を1℃高くすると約13%(約70W)、冬の暖房時の温度設定を1℃低くすると約10%消費電力を減らせます。*4

エアコンは必要な時だけ使うようにしましょう。タイマーを上手に使うなど無駄に使用しないことが節電につながります。扇風機やサーキュレーターを併用すれば、夏は風があたって涼しく感じ、冬は暖かい空気が循環するので部屋の中が全体的に暖まります。

フィルターが目詰まりしていると冷暖房効果が下がり、無駄な電力を使うため、2週間に一度の目安で掃除すると良いでしょう。*4

2. 夏はクールビズ、冬はウォームビズの服装

オフィスで働く人は服装を工夫することで、省エネを実行できます。
クールビズとウォームビズに分けてポイントをご紹介します。

クールビズ

クールビズのポイントは以下の3つです。

  • 「素材」や「上着着用スタイル」を見直す
  • 体感温度を下げるグッズを活用する
  • 涼しく働けるように就業時の服装を工夫する *5

「冷感素材の服を選ぶ」「上着を着用しない」などのアクションで、夏でも28℃の室内で快適に過ごせます。ネッククーラーなどひんやりグッズを活用して自然な冷たさを感じるのも良いでしょう。

オフィス内ではポロシャツに着替えたり、ビジネスサンダルに履き替えるなど、勤務状況に合わせて服装を変えるのも効果的です。

ウォームビズ

ウォームビズのポイントは以下の3つです。

  • 三つの首(首、手首、足首)をあたためる
  • あたたかい素材を使用する
  • 毛足の長いスリッパや座布団、カイロなどを活用する *5

首、手首、足首は太い血管のある部分なので、あたためると体全体が冷えにくくなります。
インナーや靴下などは保温効果の高い素材のものを着用すれば着ぶくれしません。
オフィスで使うスリッパや座布団はボア素材など毛足の長いものを選び、カイロなども活用することで体の冷えを防げます。

3. 断熱性を向上

窓やサッシの断熱性を上げることで、熱の出入りを防いで効果的に節電できます。
断熱性を向上させるポイントは以下の3点です。

  • カーテンやブラインドを効果的に利用する
  • 窓に断熱シート、複層ガラス、二重サッシを利用する
  • グリーン(植物)を上手に取り入れる *6

カーテンやブラインドは、夏は直射日光を遮るために閉めておき、冬は光が差し込むように開けておくようにしましょう。
窓に断熱シートや複層ガラス、二重サッシを利用することで、外気の暑さや冷気が室内に入るのを遮断します。グリーン(植物)を上手に活用するのも良いアイディアです。夏にはグリーンカーテンで涼しげに、冬には室内に観葉植物を置いて湿度で体感温度を上げられます。

4. 照明で節電

「空調」に次いで消費電力が大きいのが「照明」です。オフィスにおける消費電力の割合は、冬季は約30%(図4)、夏季は約23%(図5)を占めています。

節電のポイントとしては、以下の5つが挙げられます。

  • 照度を下げる、間引き点灯をする
  • 明るさを保つため照明器具を掃除する
  • 点灯時間を短くする
  • 人感センサーを活用する
  • 省エネ型の照明器具に更新する *7

明るさを調整できる照明器具は、必要に応じて照度を下げるようにしましょう。
照明器具の数を減らせば消費電力も少なくなります。照明器具が汚れていると室内が暗くなってしまうのでこまめに掃除することも必要です。

必要のないあかりはつけっぱなしにしないで消灯し、無駄な電力を減らしましょう。
人を検知して点灯・消灯する「人感センサー」も有効なツールです。必要なときだけ点灯し、消し忘れがありません。

省エネ型の照明器具に更新するのも良い方法です。LED電球ならば消費電力が少なく長持ちするので、節電だけでなくコストの面でも優れています。

5. 就業の見直し

働く時間や働き方を見直すことも有効です。
以下の2点を検討してみるのもよいでしょう。

  • 就業時間を前倒しする
  • ノー残業デーを推奨する *8

無駄な電力を消費しないために、明るい時間に働くことや残業しない日をつくるのをおすすめします。

6. 省エネ機器で節電

省エネ機器は年々、高い性能を持つ商品が開発されています。
以下の省エネ機器を活用して節電効果を高めましょう。

  • 省エネタイプの高効率OA機器を導入する
  • 太陽光発電や太陽熱温水器を設置する
  • 最新の省エネ基準を満たす断熱材やエコガラスを採用する

コピー機やパソコンなど、省エネ効果の高いOA機器を導入することで効果的に節電できます。太陽光発電で電気をつくり、太陽熱温水器では太陽の熱でお湯を沸かし、暖房にも使用することが可能です。

熱が出入りしやすい窓などの断熱性を高めると、室内の温度や湿度を快適に保ちやすくなり、エアコンの消費電力を抑えられます。*9

7. 省エネ行動で節電

オフィスで働く社員一人ひとりが、省エネを意識した行動を心がけることが重要です。
ポイントとしては、以下の3点が挙げられます。

  • エレベーターは乗り合わせて利用する
  • OA機器はこまめに電源をオフにする
  • コンセントを抜く、省エネの機能や機器を活用する

エレベーターは稼働台数を減らしてなるべく一台に乗り合わせるようにします。
コピー機やパソコンを使用しないときは、電源をオフにしておきましょう。
使っていない機器のコンセントは抜いておき、省エネモードや節電グッズで消費電力を減らします。*10

オフィスでの小さな積み重ねが社会全体の省エネを実現

全てのオフィスで消費電力1%を節電すると、毎日、家庭約160万世帯が消費する電力と同程度のエネルギーが削減できます。*11

例えば下図6のように、クールビズとウォームビズを徹底することにより、空調の電力量を2%削減できます。省エネ設備の更新・導入を行うと、空調では7〜14%、照明では14%と大幅に減らすことが可能です。

オフィスで節電に関するさまざまな取り組みをすると、社会全体での大きな省エネを実現できるようになります。

図6:出所)東京都環境局「ゼロエミッション東京イマ・ミライ」 p.16

https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kankyo/tokyo_coolhome_coolbiz-zeroemission-files-zeroemissiontokyo_imamirai

まとめ

オフィスの省エネを実行することで環境負荷を低減できるだけでなく、コスト削減にもつながります。
多くの企業が2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指して、さまざまな節電への取り組みを実行しています。
これからの企業は「環境経営」を自社の事業活動に取り入れることが望ましいでしょう。*12

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*1
外務省「持続可能な開発のための2030アジェンダ」 p.1
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/000270935.pdf

*2
環境省「経済のグリーン化とは」
https://www.env.go.jp/policy/keiei_portal/economy/index.html

*3
経済産業省「省エネからはじめる 経営力アップ ハンドブック」p.46-47
https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/sho_energy/data/keieiryoku_up_handbook.pdf

*4
環境省「オフィスでできる節電アクション」
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/setsuden/office/saving01.html

*5
環境省「オフィスでできる節電アクション」
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/setsuden/office/saving02.html

*6
環境省「オフィスでできる節電アクション」
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/setsuden/office/saving03.html

*7
環境省「オフィスでできる節電アクション」
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/setsuden/office/saving04.html

*8
環境省「オフィスでできる節電アクション」
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/setsuden/office/saving05.html

*9
環境省「オフィスでできる節電アクション」
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/setsuden/office/saving06.html

*10
環境省「オフィスでできる節電アクション」
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/setsuden/office/saving07.html

*11
経済産業省「オフィスでも省エネに取り組みましょう」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/media/data/2025_summer/leaflet_office.pdf

*12
環境省「団体、自治体のデコ活宣言一覧」
https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/join/list/?category=com

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